都内在住のAさんは奥さんと二人暮らし。今暮らしているお家がAさんの財産の大部分です。
「俺が死んだら、家だけはあいつに残したいなぁ…」
相続人が奥さんだけなら心配ないですね。ですが、奥さん以外に相続人がいたら、奥さんと他の相続人で財産を分けることになってしまいます。
「家を売らなきゃ分けられないじゃないか!」
まず、奥さんのほかにお子さん(もしくは親御さん)が相続人であれば、そんな時には奥さん以外の相続人の相続分を遺留分ぎりぎりにして、それ以外を全部奥さんに相続させるという遺言を残すことです。お子さんなら全体の4分の3、親御さん相手なら6分の5まで奥さんに相続させることができます。
もし、奥さん以外の相続人が自分の兄弟だけならば、まず「この家は奥さんに全部相続させる」という遺言をすることです。
埼玉在住のBさんは、8年前に当時の奥さんと子供と別居して、現在はC子さんという内縁の奥さんと一緒に暮らしています。
「俺が死んだらC子は内縁だから、財産は相続させてあげられないなぁ…どうしよう?」
内縁の奥さんC子さんに財産を残す方法。2つあります!
1つめはC子さんに自分が死んだ後に財産を贈与するという遺言をするという方法です。
2つめは、Bさんがお元気なうちに、C子さんに財産を贈与しておく方法ですね。
ただし、どちらにしても他の相続人の遺留分を侵害すると、C子さんは他の相続人から遺留分を返せという請求を受ける可能性があります。
ですが、それでも遺留分を差し引いた財産はC子さんに残ります。
都内在住のDさんは大きな会社を経営しています。
ですが、私生活では奥さんと息子さんに先立たれ、娘さんはいますが、結婚のことが原因で仲が良くありません。
息子さんには子供がいなかったので、もし今死んでしまったら、財産は娘さんの所にすべて行ってしまいます。
「息子の嫁だったE子さんは、娘と違って今でも私の面倒をみてくれている。
私が死んだらE子さんにもなんとか相続させてあげられないだろうか?」
お子さんの配偶者の方には相続権はありません。どうしたらいいでしょうか?
1つめはE子さんに財産を贈与するという遺言をするという方法です。
2つめは、Dさんがお元気なうちに、E子さんに財産を贈与しておく方法ですね。
ただし、どちらにしても娘さんの遺留分を侵害すると、E子さんは娘さんから遺留分を返せという請求を受ける可能性があります。
ですが、それでも遺留分を差し引いた財産はE子さんに残ります。
北海道在住のFさんは、大きな牧場を経営しています。奥さんも良い人で、一人気立てのよい娘さんがいますが、もう一人の息子は放蕩息子の挙句、親に家庭内暴力まで振るってきます。
「もし私が今死んだら、あの馬鹿息子にまで4分の1の財産が渡ってしまう…
それなら遺言で、私が死んだらあいつの相続分を無しにしてやろう。」
そんな馬鹿息子にも遺留分がありますから、いくらFさんが遺言をしても、馬鹿息子が請求してくれば、8分の1は馬鹿息子に渡ってしまいます。
どうしても馬鹿息子に財産を渡したくないのなら、相続人からその息子を廃除してしまう方法があります。
廃除はFさんが元気なうちにもできますし、遺言で息子を廃除することも可能です。
もし遺言で廃除するなら、遺言執行者が廃除の手続きをしますので、遺言書には廃除したということと、廃除する理由などの他、細かく記入しておく必要があります。
以上はほんの一例です。詳しくは当事務所までご相談ください。